2014年10月26日日曜日

<受験4>決断


MBA留学から心が離れてしまったものの、仕事への意欲が高まる訳ではない。それどころか、むしろモチベーションは低下していき、単に家とオフィスの往復で無為に過ごす日々は、虚しさからやがて苦痛へと変わっていった。今、思い起こすとこの頃が一番精神的に辛かった。それまで、スキーでも仕事でも常に何かを追って生きてきたから前向きでいられた。こうして目標が無いまま生きることが如何に辛いことであるかということを初めて思い知ったのだった。何かしなくてはと、何となく転職活動を始めてみたが、気持ちも中途半端で長く続かなかった。

そんなある日、学生時代の部活の先輩が会社を辞めて、名門・オーストラリア国立大学へ留学するというニュースが飛び込んできた。早速、会って話を聴かせてもらったところ、
何とも刺激的な内容だった。勤務先に社費派遣の制度はなく、かと言って学費分の貯金がある訳ではなかったが、ずっと留学してみたいと思っていたことに加え、今の勤務先で働き続けている限り自分の人生の目標を達成できないことを悟り、リスク覚悟で留学することに決められたのだという。受験勉強は、資金の目処等が立たないまま、しかも会社に内緒で始めたので、不安も負担も多く大変だったが、見事合格に至り、その後何とか学費も集めることができ、満を持して翌月から留学するということだった。先輩の表情は実に晴れやかだった。


私は頭をバットで殴られたような衝撃を受けた。 ―  先輩は、自分と同じような立場にいながら、実際に行動に移して留学を実現するに至った。一方、自分は行動することも無く、些細なことを理由に逃げようとしている。憧れていたMBA留学、20代後半の今を逃したらきっと一生行けない。動機は不純だが、行きたいものは行きたいのだ。中途半端に諦めたら絶対に将来後悔する。論理武装など今からすれば良いじゃないか。先輩のように行動してみないと何も始まらない ― そして、その後本屋へ飛び込んでTOEFLGMATの教材を掻き集め、2012年のゴールデンウィークから本格的に受験勉強を始めたのだった。なお、恥ずかしい話だが、その時は志望校はおろか、どんな学校があるのかもほとんど知らない有り様だった。



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